木曜日の本棚

本と本に関することの記録です。

地の果ての獄

ゴールデンカムイが実写映画も含めて好評なので、色々関連書籍が出てますね。おかげで関東でもアイヌ関係の書籍が手に入れやすくなったのは有難いのですが、同じく北海道を舞台にした和風ウエスタンということで地の果ての獄にも手を出す人はいないかな? 「…

ゴールデンカムイ

映画「ゴールデンカムイ」行ってきました。いきなり二百三高地から始まっているのが良かったですね。原作をよく理解している人が製作すると、限られた上映時間の中で、原作を知らない人にも「面白い」と言わせるには、どう原作を取捨選択するかが良く分かっ…

聞き書き 関東大震災

関東大震災から100年で出版されたのだろうけど、今あらためて読む価値はあるなあ。 「谷根千」の関東大震災特集号、運が良ければ神保町辺りで見つかることもあるだろうけど、 地域雑誌は古本屋にもあまり出回らないから、こうして書籍で読めるのは有り難いで…

いもうと物語

埼玉のトンデモ条例の廃案にされる前に、県議団の団長が 「留守番は虐待です」 と発言していたのを見て、そういえば氷室冴子の「いもうと物語」で、主人公がTVのニュースで 「鍵っ子は、可哀想」 とキャスターが発言しているのを見て 「何、おかしなことを言…

原爆 広島を復興させた人々

東日本震災で、惨状の大きさに手が回り切れず体育館にもののように安置された人々を「ご遺体」として荼毘する為に、全力を尽くした人々の姿を記したように、石井光太さんは「自分の力では、どうにもならないと分かっていることに立ち向かう勇気ある人々」の…

スポットライト 世紀のスクープ

ジャニーズ事務所の性被害の記事で一番引っかかったのは取材した記者が海外の記者達から言われた 「どうして日本のマスコミは、この件について報道しなかったの?日本人は、権力者の性犯罪について甘いんじゃないか?」 という一言で。 山下達郎さんが叩かれ…

生きる- LIVING

黒澤明の「生きる」を、カズオイシグロ脚本でリメイクしたものですが、違和感仕事しろと思うくらいイギリス映画でしたね。 出たしから、「ああ、カズオイシグロの世界だ」という感じなのですが、カズオイシグロ、オリジナルの「生きる」のこと、どれだけ好き…

「正しさ」の商人

震災の後、各地域に残っていた後世への警句を記した石碑が話題になっていましたが、これは「災害時における情報災害がどれほど被害を与えるのか?」ということを身をもって体験した福島県民が、自分達と同じように長期間情報災害で苦しめられる人が生まれな…

9で割れ

先日、東京で原画展が開催された矢口高雄先生の銀行員時代の話が Kindle Unlimitedで読み放題になっていますね。 矢口先生の自伝自体が、今では変わってしまった当時の農村の生活の貴重な記録となっているという評価もありますが、それで言ったらこの話は昭…

犬の伊勢参り

「ハチ参る」の最初の方に参宮犬とは何か?について触れられておりますが、もっと深く参宮犬について知りたい人には、これがお勧めかも。 この本、犬のお伊勢参りが何故起こったのか?何故廃れたのか?をそれぞれ記しているので、そこから色々と考えることが…

ハチ参る

遠藤さんといえば、遠藤さんの犬好きが色濃く出た作品がありましたね。 江戸時代、お伊勢参りは庶民の憧れの的。とはいえ、交通機関が徒歩か馬だった当時、遠い伊勢まではなかなか行けるものではない。 そこで本人に代わって、お伊勢様に代参してくれる犬が…

退引町お騒がせ界隈

技術の断絶について色々と聞く機会がありまして。学校やアマチュアという形でも技術は伝えていけないだろうか。技術は断絶させないことが大事なんだとお聞きして、遠藤淑子さんの初期作にそういう話があったなあ、と思い出したりして。 失恋と進路決定時期が…

百姓の百の声

「農業」分野の倒産は20年間で最多ベースと伝えられておりますが、かといって私は日本の農業にも農家にも絶望しているわけではなくて、国や社会が才覚ある農家の足を引っ張らなければ何とかなるんじゃないかな、とも思っています。 www.tsr-net.co.jp この映…

遺体: 震災、津波の果てに

モデルとなった人がその後しでかしたことでミソがついた感はあるけれど、それでもやっぱり震災当時の行動は褒められるべきだと思うし、この本は名著であると思うんですよ。 東日本震災時の石巻で、ビニールシートに包まれ、体育館に運ばれた死体を御遺体とし…

各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと

この本コロナ禍前に、子育てに関して、あまりにトンデモ理論やニセ科学が蔓延っている状況に危機感を抱いた各分野の専門家が集って作った本なのですが、その時よりもデマや不安が広がりやすい今、読み返すのはいいかもね。 そりゃ、学校にまで「親学」やら「…

アーナンド先生の教室

このツイートを見て、調べたらまだ間に合ったので見に行ってきました。 「次はどんなインド映画を見に行くの?」「受験戦争を描いた映画で階層社会なインドで貧民のための私塾を開いて難関大学に生徒を合格させまくる先生が主人公」「ふむ」「怒った他の塾が…

橋の上で

湯本さんも酒井さんも大好きなので、 「湯本香樹実が文、酒井駒子 絵、これは買わないわけにはいかないでしょう❗️」 と、本屋をのぞいたら、ちゃんと置いてあったので買ってしまいました。 昨今、児童書コーナーは貧弱な本屋が珍しくないなか、わりと充実し…

教育と愛国

足立区の子供達への支援が「素晴らしい!」「真っ当過ぎる」と話題になっていまして。 togetter.com togetter.com 元々、給食での食育を通して、子供達への栄養教育(アメリカの低所得者層の食生活とその結果としての過剰な肥満と成人病を見ると、これがどれ…

虚妄の女王

「辺境警備外伝」というタイトル通り、「辺境警備」が終わった後の話。「辺境警備」の舞台であったルウム王国の敵国エアドラム王国の女王の物語。 武人の一族の首長の娘が、よく似た容姿をかわれて次期女王となる女王の護衛につくが……という話です。 国境問…

東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート

東京では、30日まででした。間にあって良かった。(地方公開は、これからだそうだけど)もう一つのオリンピック映画はそそらなかったけど、こっちは観たかったの。この題材ならくっきりと政治色を出すことも出来ただろうけど、そうならなかったのは、「いき…

杜人

社会の硬直化が、どれだけ世の中を息苦しくさせるのか?ということについて考えさせられる時に、風通し、水通しをよくすることによって、土中の環境を変え、環境を蘇る人の映画を観るのも、何かまたサインのような気もしますね。横浜だと26日までだから間に…

ゴールデンカムイ最終回

ゴールデンカムイ、最終回を迎えましたね。いい終わり方でした。大幅加筆があるそうだから、単行本発売が楽しみ! そういえば、あれ英語版もあるし、アニメも海外配信されているから、アイヌや北方ツングース系民族について日本人より知識のある外国人はいそ…

家族と社会が壊れる時

東大の入学式での祝辞と早大の入学式での祝辞が比較されていまして。 https://www.waseda.jp/top/assets/uploads/2022/04/2204_speech_koreeda.pdf 東大の祝辞の方はかなり評判が悪いですが、河瀬監督からの祝辞だと思うとあまり違和感はないんですよね。 だ…

米国人一家、おいしい東京を食べ尽くす

Netflixで「初めてのおつかい」が流されて海外で話題になっているという話を聞いて、この本を思い出しました。 togetter.com 子供だけで、買い物に行くなんて危険過ぎて海外ではあり得ないことだから、それは話題になるでしょうね。 米国人一家、おいしい東…

カティンの森

ウクライナの民間人虐殺、どうしても「カティンの森」を思い出すなあ。あれも救いがない映画でした。 www.bbc.com 橋本さんをはじめ 「国民の命を守るために早く降伏した方がいいよ」 とテレビで言っている人を見て、この人東欧史も東欧を舞台にした映画や小…

格差と分断の社会地図

サヘル・ローズさんの話がFBで、流れてきまして。 fujinkoron.jp シェアしてくれた人は、わりと素直に感動されまして。確かに良い話でシェアしたくなる気は分かるのですが、シェアされた記事を読む前に、こちらの本を先に読んでいたので、ちょっとひっかかっ…

カラカウア王のニッポン仰天旅行記

図書カード3万円企画に皆ワクワクするのは 「ああ、あの時お財布を考えて買わなかったけど、どうしてあそこで買わなかったんだろう!」 と、思う本があったりするからじゃないかと思うのですよね。 本は一期一会で、その時逃したら二度と手に入らないなんて…

3万円の図書カードをもらったら何を買うか?

作家に3万絵の図書カードを与えて「好きな本をなんでも買っていいですよ」というこの企画、各作家の性格がほの見えてとても楽しい!(^◇^) そして、ほとんどの作家が予算枠を越えて、超過分を自腹切っているのが更に楽しい。 togetter.com 本好きでなく…

風恋記

新しい大河に合わせて関連書籍が色々出ておりますね。「炎環」新装版出てるなあ。「相模のもののふたち」とか「つわものの賦」も面白いんだけどなあ、と思いつつこっちも復刻しないかなあ、と思っております。 いや電子版は現在も出ているのだけど、私は本は…

魔群の通過

そういえば「多様性を認めないと戦争になる 多様性には闇がある」は、この本でもよく現れてますね。 フランス革命の恐怖政治もそうだけど「自分達は正しい!間違っているのはあちらだ!」を妥協しないでやると、結局は血と血で争うだけになって、何の実りも…