木曜日の本棚

本と本に関することの記録です。

歴史

地の果ての獄

ゴールデンカムイが実写映画も含めて好評なので、色々関連書籍が出てますね。おかげで関東でもアイヌ関係の書籍が手に入れやすくなったのは有難いのですが、同じく北海道を舞台にした和風ウエスタンということで地の果ての獄にも手を出す人はいないかな? 「…

ゴールデンカムイ

映画「ゴールデンカムイ」行ってきました。いきなり二百三高地から始まっているのが良かったですね。原作をよく理解している人が製作すると、限られた上映時間の中で、原作を知らない人にも「面白い」と言わせるには、どう原作を取捨選択するかが良く分かっ…

聞き書き 関東大震災

関東大震災から100年で出版されたのだろうけど、今あらためて読む価値はあるなあ。 「谷根千」の関東大震災特集号、運が良ければ神保町辺りで見つかることもあるだろうけど、 地域雑誌は古本屋にもあまり出回らないから、こうして書籍で読めるのは有り難いで…

原爆 広島を復興させた人々

東日本震災で、惨状の大きさに手が回り切れず体育館にもののように安置された人々を「ご遺体」として荼毘する為に、全力を尽くした人々の姿を記したように、石井光太さんは「自分の力では、どうにもならないと分かっていることに立ち向かう勇気ある人々」の…

9で割れ

先日、東京で原画展が開催された矢口高雄先生の銀行員時代の話が Kindle Unlimitedで読み放題になっていますね。 矢口先生の自伝自体が、今では変わってしまった当時の農村の生活の貴重な記録となっているという評価もありますが、それで言ったらこの話は昭…

東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート

東京では、30日まででした。間にあって良かった。(地方公開は、これからだそうだけど)もう一つのオリンピック映画はそそらなかったけど、こっちは観たかったの。この題材ならくっきりと政治色を出すことも出来ただろうけど、そうならなかったのは、「いき…

ゴールデンカムイ最終回

ゴールデンカムイ、最終回を迎えましたね。いい終わり方でした。大幅加筆があるそうだから、単行本発売が楽しみ! そういえば、あれ英語版もあるし、アニメも海外配信されているから、アイヌや北方ツングース系民族について日本人より知識のある外国人はいそ…

カティンの森

ウクライナの民間人虐殺、どうしても「カティンの森」を思い出すなあ。あれも救いがない映画でした。 www.bbc.com 橋本さんをはじめ 「国民の命を守るために早く降伏した方がいいよ」 とテレビで言っている人を見て、この人東欧史も東欧を舞台にした映画や小…

カラカウア王のニッポン仰天旅行記

図書カード3万円企画に皆ワクワクするのは 「ああ、あの時お財布を考えて買わなかったけど、どうしてあそこで買わなかったんだろう!」 と、思う本があったりするからじゃないかと思うのですよね。 本は一期一会で、その時逃したら二度と手に入らないなんて…

風恋記

新しい大河に合わせて関連書籍が色々出ておりますね。「炎環」新装版出てるなあ。「相模のもののふたち」とか「つわものの賦」も面白いんだけどなあ、と思いつつこっちも復刻しないかなあ、と思っております。 いや電子版は現在も出ているのだけど、私は本は…

壬申の乱は三角関係のもつれで起きたのではありません。

「天智天皇・天武天皇・額田王は三角関係ではない」という記事が流れてきまして。 三角関係の恨みから天武天皇が壬申の乱を起こしたという説の否定記事だったのですが、え?そんなアホな話を信じている人がいるの?ストーリーに恋愛が欠かせない少女マンガで…

戦艦大和講義 私たちにとって太平洋戦争とは何か

大和といえば日本人、戦艦大和大好きですよね。宇宙戦艦ヤマトだって企画の段階では戦艦三笠のイメージだったのが、途中で戦艦長門に寄っていき、結局最後はヤマトになったわけで巨大戦艦時代の終焉を告げる船として、その悲劇とともに人気があるのかな?と…

生きろ 島田叡-戦中最後の沖縄県知事

戦中最後の沖縄県知事のドキュメンタリー、再演されますね。 私が観たのはジャックアンドベティだったのですが、14日から27日までシネマリンで再上映かあ。しかも15日には佐古監督の舞台挨拶があるんですね。お盆じゃなかったら行きたかったなあ。 シネマリ…

ベトナムから来たもう一人のラストエンペラー

そういえばこの本、国家としての日本の冷たさと個人としての日本人の優しさの対比が鮮やかだったなあ。 これ、日本からの支援によるベトナム独立を夢見て、結局日本に使い捨てにされたベトナム王族の話なのだけど インド独立派のシビアな国際情勢認識と対比…

江戸っ子長さんの舶来屋一代記

こういうツイートがまとめられていまして 去年、世の中から消毒用アルコールが消えた時。自粛の大打撃で苦しかったはずの酒造業界が物凄いスピードでアルコールを生産・流通させてくれた。 今の心細さはいつ迄も続かないんだ、と助けられた事、忘れたくない…

ドキュメント 沖縄戦

一週間限定でリバイバル上映をするので、「ドキュメント沖縄戦」を観てきました。少し前に「生きろ」という戦中最後の沖縄県知事のドキュメンタリーを観たので、あちらを観たなら、こちらも観ないととなあと思って観たのですが、いやあ辛かったですね。 何が…

T.E.ロレンス

外務省が 「イスラエル・パレスチナをめぐる最近の情勢に対し深刻な憂慮を表明します。暴力行為はいかなる理由によっても正当化できるものではありません」 と日本の立場としては至極真っ当な談話を発表している状況で、中山泰秀議員が防衛副大臣という役職…

夢幻花伝

香道というものが、触れたのはつい最近だけど、香道というものが世の中にあると知ったのは、小学生の時です。まだ鬼夜叉と呼ばれていた少年時代の世阿弥が香を当てようとして外して 「猿楽者には、わからんか」 と蔑まれ、嫌がらせに耐えながら必死になって…

浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―

戦災孤児についての記録ってほんと少ないんですよね。 石井さんが「かつて戦災孤児だった人達がご存命のうちにお聞きしないと」と焦った理由がよく分かる。 これ戦災孤児についての記録なのだけれど、同時に日本の福祉政策の姿勢や児童保護に対する姿勢も見…

同期生

エンタメ産業には少女の欲求や願望が素直に出るよね、で思い出したのですが、これ面白かったですね。何故、タイトルが「同期生」なのかというと、この3人、同時期に同雑誌デビューなんですね。 竹宮さんが「少年の名はジルベール」で書いていたけど、70年代…

半藤一利さん亡くなる。

今日は旧暦だと師走の始まりの日なのですが、そういう日に半藤さんの訃報を聞くと語り手が変わるということの意味を考えますね。(´-ω-`) togetter.com tokyo-np.co.jp shinsho.kobunsha.com www.youtube.com bunshun.jp 半藤一利氏が文藝春秋に入社して最初…

旅ごころはリュートに乗って: 歌がみちびく中世巡礼

今年は、これを読んでいる時にこれが起こるのかと思うことが多々ありまして。(「石井光太さんの『赤ちゃんをわが子ととして育てる方を求む』を読んでいる時に特別養子縁組をした芸人が同じように特別養子を迎えたママ友と親子パーティを開きましたというブ…

おじいちゃんの里帰り

FBで就職活動中の女子大生が生まれたばかりの我が子を殺してしまった事件の解説が流れてきたけれど、それを見たらこの映画のことを思い出しました。 www3.nhk.or.jp これトルコ移民の家族が「故郷に帰る」という祖父の言葉で一族全員でドイツからトルコまで…

常盤とよ子が写した戦後横浜の女性たち

たまたま用事があってユーラシア博物館の近くを通ったので、今何をやっているのかな?とのぞいていみたのですが、ちょうど準備期間中で常設展しかやっていなかったのです。 常設展ならいいか、と見るのをやめたのですが、1階で常盤とよ子さんという写真家の…

日本人の忘れもの

大陸の残留邦人と違って、南洋の残留邦人のことはあまり話題にあがりませんね。 一つには、国策として市町村に送り出す移民の数へのノルマを課してまで送り出した満州開拓団と民間人が主体の南洋移民街との違いもあるでしょうし、フィリピンの残留邦人が現地…

インディアンとカジノ

アメリカの暴動が起きている時に読んでいるとアメリカの抱えている矛盾とかアメリカ社会の本音と建前とか色々見えてきて面白い。 アメリカインディアン史って単純に先住民族の歴史というだけでなく、アメリカ社会の複雑さや厄介さを映し出す鏡にもなるから凄…

この世界のさらにいくつもの片隅に

同じ話をまったく違う映画にして見せてくれたのは単純に凄いなと思いました。いやあ3時間早かったです。 ikutsumono-katasumini.jp 「この世界の片隅に」では、潔くバッサリ切った「この物語でがリンさんはどういう位置づけにある人なのか?」を丁寧に書いて…

三人噺 志ん生・馬生・志ん朝

今年の大河、同じ俳優が若い頃の志ん生を演じているけれど、前回の放送だと、それに加えて 志ん生の二人の息子も演じていましたね。 兄弟だけど性格も芸風も違う馬生と志ん朝と二人の真打を(志ん朝は、この時はまだ真打じゃなかったけど)、きちんと演じ分…

初月の歌

万葉集、新年号のおかげで品薄だそうで。 今まで万葉集を読もうと思ったことないけど、今回の件で興味を持った、という人は マンガから入るのも手じゃないかな?と思ったりもします、とっつきやすいし。 長岡さん、万葉集好きだから、あの時代を舞台にした作…

YUKIGUNI

いい映画でした〜( ˆoˆ )/ 名前からして「雪国」は日本で生まれたカクテルなのだろうな、と思ってましたが、生まれたのが仙台で、しかも考案者が現在も現役バーテンダーとは知りませんでした。 うわあ、この映画を観たら酒田に行きたくなる。しかも今なら震…