木曜日の本棚

本と本に関することの記録です。

夢幻花伝

 香道というものが、触れたのはつい最近だけど、香道というものが世の中にあると知ったのは、小学生の時です。まだ鬼夜叉と呼ばれていた少年時代の世阿弥が香を当てようとして外して

「猿楽者には、わからんか」

 と蔑まれ、嫌がらせに耐えながら必死になって花の御所で生きていく為に必要なことを覚えようとしていた姿で、様々な貴族の嗜みがあることを知りましたね。読み返したら

「こんな嫌がらせには負けない」

 と藤の花を見上げていた時、その姿を愛で

「御所で暮らすのに、鬼夜叉という名は相応しくなかろう」

 と、藤若という名をくれた親切な関白様の名前が二条良基様であることに気づいて笑ってしまった。連歌の名手である親切で優しい関白様としか覚えていなかったわ。f^_^;

 世阿弥南朝の遺臣説もこの話で知りましたね。世阿弥って他の人も作品で描いていたから少女漫画と相性がいいのかな。まあ能を好きな人が世阿弥について描きたいと思うのは不思議じゃないけど。

大江山花伝

大江山花伝

 

 木原さん、「桜姫東文章」をしっかり少女マンガにしていたなあ。歌舞伎ものだけ集めた本もあるから、あれがきっかけで歌舞伎座に足を運んだ人もいそうですよね。

 木原さん、読んでいるとこの方日本の古典や芸能が大好きなんだな、ということがよく分かる。好き過ぎて、つい作品に描かずにいられなかった人の話は面白いですよね。