慶應の学長の国公立大学学費値上げ提言と、それに対する反応で桐野夏生の「燕は戻ってこない」を連想したのだけど、30日からNHKで連ドラになるのですね。
凄くタイムリーだなぁ。これ代理母と依頼者という関係にならなかったら、自分とはまったく異なる対岸の存在と思っていた人々と同じことについて悩む、考える話ですものね。
主人公が依頼者よりも、その妻に好感を抱くのは
「本当にこれはしても良いことなのか?」
という共通の疑問があるからだし。主人公は
「風俗で働き体を売っている同僚は、見ず知らずの男の子を産むなんて、絶対にやってはいけないことだと言う。
風俗も代理母もボディレンタルということでは変わりはないのに、どうして私達は代理母に抵抗感があるのだろう?」
と考える。
依頼者の妻は
「これは貧困女性の境遇につけこんだ搾取であり、ビジネスだなんてとてもいえるものではないのでは?
でも、私は『自分の遺伝子を残したい』という彼の望みに応えてあげられない」
と悩む。
どんなことでも需要があって供給があれば、そこにビジネスが生まれ、どんなビジネスも貧しさ、弱さにつけこんだ搾取をゼロにはなるよう排除することは出来ない。
代理母の供給源てあるウクライナ侵攻で、代理母斡旋業者が斡旋業者がパニックを起こしたことからも分かるように、貧しい国の女性が豊かな国の男女の願望を叶える為に自分の身体を提供するというルートは既に出来上がってしまっている。
そして貧しさから抜け出す為に、代理母というリスクの多い方法を選択する人がいることも
「彼女達は、自分でそれを選択したんだ。嫌ならそれを断ることも出来た。対等なビジネスのどこが悪い」
と明言する人がいることも、過去のボディレンタル同様に起こっている。
この難しいテーマをよくドラマ化しようと思いましたよね。
どんなドラマになるのか楽しみです。
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