関東大震災から100年で出版されたのだろうけど、今あらためて読む価値はあるなあ。
「谷根千」の関東大震災特集号、運が良ければ神保町辺りで見つかることもあるだろうけど、
地域雑誌は古本屋にもあまり出回らないから、こうして書籍で読めるのは有り難いですよね。
それにしても森さん達いい仕事したなあ。関東大震災の体験者(ということは、東京で震災に遭って生き延びた人々ということですよね)から直接お聞きした震災当時の状況って今では聞くことは出来ないもの。
森さん達が聞き書きした当時も高齢者だったけれど、震災から百年経ったら鬼籍に入っている人達が大半ですものね。
この本、東京だけでなく被害の大きかった神奈川の状況についても触れられていて。神奈川、倒壊、火災だけでなく津波もあったから皇族まで亡くなっているのですよね。
まあ神奈川は鎌倉、小田原を中心に貴人の別邸があったから不思議ではないのですが。9月1日なら別邸に静養に来ていた人も多かっただろうし。
不忍池と上野公園があったことの意味。井戸がある、という水ネットワークの大切さ。
「今までの災害に学ぶこと」という章で「正しく怖がり適切に備えるために」と東京大学地震研究所の所長を務めた平田名誉教授のお話を聞き書きしてるのも有り難いですよねえ。
相変わらず、森さんフットワーク軽い。そしてインタビューする人を選ぶ目の確かさよ。ちゃんとした情報を教えてくれる人を紹介して貰える人脈の凄さもあるけれど、森さんが「この人の話を聞きたい!」と思って聞き書きした人にまずハズレがないものねえ。
私、ペシャワール会のことは緑化の成功で有名になる前から知っていたのですが、中村先生を知ったのって森さんが
「今どきの日本人には珍しい明治の男のような気骨のある目をしている」
と中村先生に会った時の印象を書いていたからで。森さんが、そう書く人ってどんな人なのかな?と思って中村先生とペシャワール会について調べたのですよね。
それにしても森さんがまとめてくれた地震についての13項、勉強になるなあ。新旧耐震構造の違いって建築業界の人にとっては常識だろうけど、他の業界の人にとってはそうではないですものね。
能登の震災でコンクリート造りの建物が倒れたことに驚いている人達は多かったですものね。
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