木曜日の本棚

本と本に関することの記録です。

マンガ

9で割れ

先日、東京で原画展が開催された矢口高雄先生の銀行員時代の話が Kindle Unlimitedで読み放題になっていますね。 矢口先生の自伝自体が、今では変わってしまった当時の農村の生活の貴重な記録となっているという評価もありますが、それで言ったらこの話は昭…

退引町お騒がせ界隈

技術の断絶について色々と聞く機会がありまして。学校やアマチュアという形でも技術は伝えていけないだろうか。技術は断絶させないことが大事なんだとお聞きして、遠藤淑子さんの初期作にそういう話があったなあ、と思い出したりして。 失恋と進路決定時期が…

虚妄の女王

「辺境警備外伝」というタイトル通り、「辺境警備」が終わった後の話。「辺境警備」の舞台であったルウム王国の敵国エアドラム王国の女王の物語。 武人の一族の首長の娘が、よく似た容姿をかわれて次期女王となる女王の護衛につくが……という話です。 国境問…

ゴールデンカムイ最終回

ゴールデンカムイ、最終回を迎えましたね。いい終わり方でした。大幅加筆があるそうだから、単行本発売が楽しみ! そういえば、あれ英語版もあるし、アニメも海外配信されているから、アイヌや北方ツングース系民族について日本人より知識のある外国人はいそ…

風恋記

新しい大河に合わせて関連書籍が色々出ておりますね。「炎環」新装版出てるなあ。「相模のもののふたち」とか「つわものの賦」も面白いんだけどなあ、と思いつつこっちも復刻しないかなあ、と思っております。 いや電子版は現在も出ているのだけど、私は本は…

鬼子母神

山岸さんの虐待話のタイトルは「緘黙の底」だけど、収録作品集のタイトルとなっている「鬼子母神」も怖い話でしたね。 あれを読むと愛は万能でないことも、愛が人に害を与えることがあることもよく分かる。 確か河合 隼雄さんも心理療法家の立場から「昔話と…

緘黙の底

先日、子供の虐待防止対策イベントに参加して、虐待サバイバーの方のお話をお聞きしたのですが、山岸涼子さんが、代理の養護教諭が主人公で、小学生の女の子が実父に性的虐待されている話を描いていましたね。 調べたら、1992年の作品だ。この時代に、既に問…

嘘さえも本当にするほどの寂しさ

山本文緒さんの上手さといえば、「眠れるラプンツェル」の主人公が言われた言葉で、彼女が何故そんな行動を取ってしまったのか分かる辺り本当に小説が上手い人だったなあ。 確か、彼女が13歳の少年とも、その義父とも関係を持っていることを知っている相手か…

T.E.ロレンス

外務省が 「イスラエル・パレスチナをめぐる最近の情勢に対し深刻な憂慮を表明します。暴力行為はいかなる理由によっても正当化できるものではありません」 と日本の立場としては至極真っ当な談話を発表している状況で、中山泰秀議員が防衛副大臣という役職…

人の子にとっての永遠

萩尾さんの本の木原さんがとても木原さんらしくて素敵だったので思い出したのだけど 鬼滅の刃の作者さん、絶対に家にあるお母さんがおばさん(年代からいって、おばあさんまではいかないと思うけれど)の蔵書を読んで育ちましたよね。 鬼滅の刃を読む前に 「…

扉はひらく いくたびも

「少年の名はジルベール」と比べると日経の「私の履歴書」っぽいですね。 どちらも新聞記者が取材者が語るキャリアストーリーを記事にするという形式だから似ているのかな? 本としては青春談としても読める「少年の名はジルベール」の方が面白かったです。 …

夢幻花伝

香道というものが、触れたのはつい最近だけど、香道というものが世の中にあると知ったのは、小学生の時です。まだ鬼夜叉と呼ばれていた少年時代の世阿弥が香を当てようとして外して 「猿楽者には、わからんか」 と蔑まれ、嫌がらせに耐えながら必死になって…

お父さん、チビがいなくなりました

西さんといえば「お父さん、チビがいなくなりました」が映画化された時、主演の倍賞千恵子さんが 「この歳でラブロマンスの主演が出来たのが嬉しかった」 と、インタビューで語ってまして。あれがなんか良かったなあ。確かに日本の映画で倍賞さん世代の方が…

双子座の女

ペシャワール会の中村先生の告別式のニュースが流れまして。 中村先生の息子さんの答辞を読まれでいる姿を見て 「中村先生も息子さんも理想的な九州男児なのだろうけど、『男とは、こうあるべきだ』という文化の強い土地で、理想的な九州男児になれない人は…

フィメールの逸話

そういえば古い少女マンガで、事故死した少年の魂が自殺した少女の体に入って(少女の魂は生を拒絶していたので、まだ息のある体は器が空になっている状態だった)、少女として生き返るという設定の作品がありましたね。 少女の体に入った少年は、生前同級生…

同期生

エンタメ産業には少女の欲求や願望が素直に出るよね、で思い出したのですが、これ面白かったですね。何故、タイトルが「同期生」なのかというと、この3人、同時期に同雑誌デビューなんですね。 竹宮さんが「少年の名はジルベール」で書いていたけど、70年代…

チキタ★GUGU

鬼滅の刃絡みでデビルマンの最後が流れてきたので、ああ、あのキャラクターの死って完璧にデビルマンへのオマージュだよね、とこれを思い出しました。 デビルマン、終わり方が衝撃的だったせいか影響を受けた作家が多くて、これオマージュだろうなと思う作品…

海街diary9 行ってくる

海街diary、今頃最終巻を読んだのだけれど四姉妹が家族になっていく姿を描いだ物語を、家族になれなかった弟の話で閉じるところが吉田秋生だなあ、と思いました。 あ、本編自体は家族の物語として閉じてます。本編の後、本編から十年後の話が短編として入っ…

カルバニア物語

コロナ騒動があってから、ああ、これあの作品でもあったよね、と思うことが増えましたね。フィクションと現実との垣根ってけっこう低かったんだな、と思うことがわりにあっさり起こるので 「こんなの物語の中だから起こることで現実でこんなバカなことは起こ…

アデライトの花

しかしTONOさんも自分が感染パニックものを連載中に現実で感染パニックが起こるとは思わなかったでしょうね。(^_^;) 1巻は病気の発生、2巻は病気の拡大だから、3巻は感染パニックが描かれるんじゃないかな?と思うけど3巻はいつ出るのだろう? これ街一番の…

初月の歌

万葉集、新年号のおかげで品薄だそうで。 今まで万葉集を読もうと思ったことないけど、今回の件で興味を持った、という人は マンガから入るのも手じゃないかな?と思ったりもします、とっつきやすいし。 長岡さん、万葉集好きだから、あの時代を舞台にした作…

緋の闇

Yahoo!ニュースに野田市の虐待死事件について橘玲さんが書かれた記事が自著PRの為のポジショントークとはいえ溜息しかない酷い記事だったので、尊属殺人規定が廃止となった原因の事件を知っていても同じことを言えるか、とこちらを思い出しました。 これ初出…

美智子皇后物語

ツイッターのまとめで、園遊会の時の映像にキュンキュンした人達の言葉がまとめられておりまして。 「平成最後の園遊会で見せた天皇陛下の振る舞いにキュンキュンする『相合傘の理想形』『最高オブ最高』 」 「平成最後の園遊会は雨が降ってたらしいのですが…

公爵の日

ハロウィンの「一年に一度お菓子をもらえる日」で連想したのですが、「公爵の日」はいい話でしたね。 カルバニアという架空の王国を舞台にした物語の中の一つ「このあたりの子供達はみんなカイルの誕生日を知っている」 から始まる話。「もうすぐカイルの誕…