木曜日の本棚

本と本に関することの記録です。

ゴールデンカムイ

映画「ゴールデンカムイ」行ってきました。いきなり二百三高地から始まっているのが良かったですね。
原作をよく理解している人が製作すると、限られた上映時間の中で、原作を知らない人にも「面白い」と言わせるには、どう原作を取捨選択するかが良く分かっている。
梅ちゃんが出てくるのが映画終盤で、冒頭からいきなりロシア兵との殺し合いですものね。
双方、国家の為にバタバタと兵士が消耗品として死んでいく姿が映し出されると、鶴見中尉の
「父を亡くした子供、息子を亡くした老親、夫を亡くした妻達に恒久的に仕事を与えて、安定した生活を送らせる。それが死んでいった戦友たちへのせめてもの餞である」
 という言葉が第七師団の兵士達にどれほど魅力的に響くか説得力が増しますものね。
(与えようとしている恒久的な仕事は芥子栽培ですけどね。まあ、確かにあれ荒地でも育つ換金作物よね。戦火と旱魃に苦しむアフガニスタンで栽培が広がった理由がそれだし)
 北海道を舞台にした三つ巴の黄金争奪戦。あれ中央から見たら、どれも「まつろわぬもの」なのですよね。
日露戦争の生き残りの杉本とアイヌアシリパさんだけでなく、新撰組の生き残りである土方、永倉組も、中央に反旗を翻して北海道を北方防衛の拠点として自治を認めさせようとする第七師団も、全て「まつろわぬもの」で、中央に大人しく隷属していない。
 中央から見たら「互いに争いあって、共倒れしてしまえ」といったところでしょうし、鶴見中尉は、そういう中央からの視点も理解して自分達のやることを邪魔されないよう上手く立ち回ってますね。
 鶴見中尉が越後出身であるところもきいてますよね。どんなに優秀でも、官軍をあれだけ苦しめた長岡藩がある越後人が明治の軍隊で出世できる筈がないのよ。情報将校を選んでいるあたり、鶴見中尉優秀ですよね。
 映画の終盤で、まだ登場していない原作の人物達が映っていたけど、原作最後まで映画化して欲しいと思っている人多そうね。しかし、そうなるとロシアロケは出来る筈がないから大陸編も北海道で撮ることになるのね。
 まあ原作にアレキサンドル二世暗殺がある話をロシアで撮影できる筈がないのだけれど。
 個人的には館さんが
「男の子は、いつまでたっても刀を振り回すのが好きだろう?」
 と大立ち回りをしているのが良かったですね。館さん、昔から土方歳三を演じたかったようだし、年齢からいってゴールデンカムイの世界でなければ土方歳三を演じるのは無理ですものね。
 函館で戦死したことにされて網走刑務所に30年間閉じ込められていた土方歳三。そりゃあ、館さんも演じがいがあるでしょうね。

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