木曜日の本棚

本と本に関することの記録です。

物語のもつ力

そういえば氷室冴子荻原規子は、どれだけ日本の少女達に「古事記、素敵もっと知りたい!」と思わせたんでしょう。

 

氷室冴子は、その先達として古事記大好きな田辺聖子がいるけれど、マビノギオンやサトクリフの一連の作品など、西洋の神話を元にしたファンタジー作品を読み続けてきた荻原規子

「いいなあ、これ!私もこんな風に自分の国の神話を元にしたファンタジーを書きたい」

 と思ったことが「空色勾玉」に繋がるかと思うと優れた物語の持つ力というものに想いを馳せられますね。

そして英訳された「空色勾玉」がamazon ukで星五つだったことを考えると、たとえ異文化であろうとも優れた物語の持つ力というのは人を惹きつけると希望を持ったりするのです。

 スサノオ神がモデルであるところの稚羽矢は、空色勾玉の中でも「困った末っ子」として扱われ、父の意に逆らう息子であると同時に父神の真の願いを体現している息子であるという矛盾した存在なのですが、そういうところに原典の影を感じますね。

古事記を読み返すたびに「この魅力的な物語を元に、自分を魅了した数々の西の国の物語のようなファンタジーを書きたい」という荻原さんの無謀な挑戦を思ったりするのです。