昔、氷室冴子さんのエッセイで
「是非、女性に聞いてみたいのだけど十代の頃『なんて素敵!カッコいい!こういうのが男の中の男だわ!』
と思って読んだ小説の登場人物を三十路近くなった今読み返すと
『え、でもこういう人って一緒に暮らすと大変そう。間違っても結婚したくないタイプ』
と思ってしまうのだけど、これ、私だけ?それがもの凄い気になる」
と、書いていて大笑いしたのだけど、(そりゃ、大人の女性にドラゴンボールを語らせると「結婚するならクリリン一択!絶対に悟空だけはダメ!」力説するのを見せられれば、氷室さんだけの反応じゃないのが分かる。(^_^;))、困ったことに世の中には「苦労するのは分かっているけど、それでもこの人がいいや」と思わせる男性がいるんですよね。
この本「夫にはしたくない愛すべき男たち」というテーマで12人の男性を語っているのだけど、「人間としては魅力的で愛さずにいられない」と「絶対こんな苦労する人を夫にはしたくない!」は同時に成立することがよく分かる。^_^;
古今亭志ん生といえば、りん夫人ですが、りん夫人が絶賛されるのって、こんな手間がかかって、面倒で、でも自分の志には真摯な人に寄り添うには妻の側に、もの凄い度量と包容力がないと無理だと大抵の人は分かっているからなんですよね。
「ああ、もう、この人はこういう人なんだから仕方がない。腹をくくって私がこの人を守ってあげるわ!」
と、女に思わせる、自分の志には忠実な、魅力的でどうしようもない男達の逸話を楽しめる人にはお勧めです。