木曜日の本棚

本と本に関することの記録です。

常盤とよ子が写した戦後横浜の女性たち

たまたま用事があってユーラシア博物館の近くを通ったので、今何をやっているのかな?とのぞいていみたのですが、ちょうど準備期間中で常設展しかやっていなかったのです。

常設展ならいいか、と見るのをやめたのですが、1階で常盤とよ子さんという写真家の追悼展が開かれておりまして。

せっかくだから見てみようか、くらいの軽い気持ちで見たのですが、これがなかなか良い写真で、思わぬ拾いものをして気分となりました。

タイトルとして「常盤とよ子が写した戦後横浜の女性たち」というタイトルがついていまして、戦後の横浜の赤線や青線で働く女性達。

いわゆる「パンパン」と呼ばれた女性達の姿を写した写真でした。

後で調べたら常盤さん、有名な写真家でこうして追悼展の案内も出ていたのですね。 

www.nhk.or.jp

www.tokyo-np.co.jp

常盤とよ子さん、横浜空襲でお父さまを亡くされたそうで。父を殺したアメリカを憎み、父を殺した国の人間であるアメリカ兵に媚を売って生きる女性達の姿を憎しみと反感をもって撮影していたそうですが、撮影を続けるうちに彼女達への視線が反感から共感に変わり、ありのままの姿を撮影するようになった、と書かれていましたね。

 

撮影を続けるということは彼女達がどういう生活をしているのか?ということを見続けているわけで。

そこで彼女達と言葉を交わすようになり、何故そういう生活をするようになったのかを知ると反感を抱き続けるのが難しくなったのでしょうね。

誰もが生きるのに必死な時代でしたし、たまたま自分は彼女達と同じにならなかったという思いもあったでしょうね。

だって生きなければいけないもの。戦争で街を焼かれ、家族を失い、それまでの日常が壊れても、それでも生きなければいけないもの。

 

そういう時代があった。そういう時代の中を生きていた人達がいた。その事実を記録する力を持った写真でした。